ふるさと納税でここ数年、和歌山県内のいくつかの自治体が相次いで大幅に収益を増やしている。共通するのは、県南部にある「飛び地の村」で生まれた会社を頼りにしたことだった。
県内第2の都市、田辺市は、寄付額から商品代や経費などを引いた「収益」より、住民が他の自治体に寄付したことによる住民税の減収分が大きいため、「ふるさと納税赤字」が続いていた。
2022年度は約9200万円の寄付があったが、結局6千万円近い赤字となった。同年度では和歌山市が黒字転換しており、県内の30自治体で赤字だったのは田辺と岩出の両市だけだった。
ところが、23年度の田辺市の寄付額は2月末までで1億9千万円で、最終的には1億9500万円程度になる見通しという。減収分を除いても黒字になる見込みだ。
また、この数年で田辺市のように寄付額を伸ばした自治体が多い。新宮市は21年度の約6700万円から22年度は約1億9900万円に、すさみ町は21年度の約8400万円から22年度は2億4千万円とそれぞれ3倍近く集めた。23年度は新宮市が約2億3千万円、すさみ町は約3億2千万円を見込んでいる。
その理由について調べてみると、これらの自治体に共通するのは、県内のほかの自治体と接していない飛び地の村、北山村が全額出資する株式会社「じゃばらいず北山」にふるさと納税事業を委託している点だった。同社は県内自治体だけでなく三重県紀宝町、山梨県丹波山村からも委託されていた。
では、同社に委託したことでどう変わったのか。
先の自治体の多くが以前は全…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル